2005-06-01から1ヶ月間の記事一覧

【1:問題と方法の確認】

◇東氏が90年代から一貫してこだわり続けているのは、現在の私たちが置かれている時代についての状況認識である。この一点への認識の一致がないために、東氏は、前回少し触れたように笠井潔氏*1と決裂し、さらに、大塚英志氏と多くの理解を共有しながらも袂を…

【7:次回以降の予告】

◇なお、一応今後の予定としては、 東氏を「かみくだく」:「動物化」論、権力/自由論、子育て論、哲学論 「嗤う北田の『リベラリズム』」 日本リベラリズムの本義 といった内容を予定していますが、全部書ききれるかどうかは分かりません。

【6:東浩紀の日本社会論の射程】

◇さて、そこで「日本社会」論を名のっている『動ポモ』に立ち戻って、「日本社会」についてどのような状況認識がされているかだけ確認しておこう。ただ、結局この本は以上のような哲学的背景を持ちつつ、オタク系文化だけを素材に論じた本なので、「日本社会…

【5:東浩紀の日本社会論の背景】

◇ということで、ようやく東氏の『動ポモ』とリベラリズムの関係が少し分かってきた(まだ、『動ポモ』の本題には入っていない)。ここで、もう一度1998/99年の講演/論考「郵便的不安たち」(以下、引用は『郵便的不安たち#』)*1に戻って、東氏が『動ポモ…

【4:「大きな物語」の機能不全とシミュラークルの全面化】

◇こういう認識を背景にすれば、1970年前後に「大きな物語」が終わった(機能不全)というのは、理解しやすい。「大きな物語」とは、具体的に言えば、「近代国家」のイデオロギー(「国民国家」の一体感=国家目標にすがる、日本なら文明開化や天皇制や高度成…

【3:「ポストモダン」という時代認識】

◇ポストモダンとはどのような時代を指すのか。「モダン」は、近代/現代の意味で使われるわけで、「ポストモダン」とは近代以後(特に1970年代以降の文化的世界)をとりあえず意味する(以下、「ポモ」と略記する)。「近代以後」では分かりにくいが、一時(…

【2:『動ポモ』を初歩からもう一度?】

◇東氏の2001年の著作『動物化するポストモダン オタクから見た日本社会』*1は、東氏が現代思想の領域で高い評価を得た後、より一般向けに発表した著作である。新書版で、一見誰でも読みやすそうな体裁の本である。しかし、この本は、それに先立つ講演/論考…

 東浩紀・北田暁大は「学問オタク」か? (その2)

批評家・東浩紀氏の思想を儒教=仏教=神道的に「かみくだく」 1.「ポストモダン」の状況認識篇 目次 【1:問題と方法の確認】 - ピョートル4世の<孫の手>雑評 【2:『動ポモ』を初歩からもう一度?】 - ピョートル4世の<孫の手>雑評 【3:「ポストモ…

 Musical Batonが回ってきたものの…

◇一日中、持ったまま走ってました(遅くて申し訳ない)。同年輩のid:sanhao_82さんよりいただきました(いつぞやは変なTBで失礼)。(あまり書いていない)[音楽短信]記事を見ていただければ分かるように、私の趣味は超偏っていて一般性がないぞ。 ◇では、…

 東浩紀・北田暁大は「学問オタク」か? (その1)

前口上 ◇さて、先に「私たちの時代の「学芸」 - ピョートル4世の<孫の手>雑評」で、東・北田の両氏には「そこはかとなく『よくできすぎ』のいかがわしさを感じる」と書いておきながら、昨日の「「日本版ポリティカルコンパス」結果=保守左派 - ピョートル…

 「日本版ポリティカルコンパス」結果=保守左派

◇再びsamsoさんのページ経由*1で、日本版ポリティカルコンパスという政治指向判断テストを(かなり話題になっていたようで、遅ればせながら)知る。仕組みそのものは、東浩紀に倣うと(?)自分の政治的立場までデータベースに規定してもらうようになったの…

 「孫の手」アンテナ整理&ブログの読まれ方?

◇(かなり下の方にある)「孫の手」アンテナを拡充しました。一応できる範囲で見やすくしたつもりですが、よかったら未見のページ探しの参考にどうぞ。私の興味にしたがって「研究者・ブロガー」「編集者・ライター」「社会理論・批評」「東アジア思想史」「…

 弱小国「日本」における歴史問題の不毛 (中国・アメリカの外交戦略の間で)

◇昨日は、内田先生のブログ*1で「靖国」問題が盛り上がり、たまたま外出先からタイミングよくTBできた当ブログ*2も千客万来で賑やかなことであった(反応は特にないが、内田ブログの副読本くらいにはなった?)。アメリカ−中国−日本の三角関係を中心に北朝鮮…

 谷川俊太郎「詩を書く楽しさ」

◇「著書を語る」枠の記事で、4月に出た詩集『シャガールと木の葉』*1に関連しての短いエセー。掲載されているのは、ジュンク堂書店発行のPR誌『書標 ほんのしるべ』6月号(初めて見た…。たまたま昨日大宮店で)。5日に出たようだが、あまりに地味な媒体な…

 「靖国問題」補足から、「小泉首相」観・国際情勢観の問題へ

◇さて、いいかげん論点も出尽くして(?)、皆が飽きてきそうな「靖国神社参拝問題」について、少ししつこく補足しておこう*1。もっとも、これを、「小泉純一郎首相の靖国神社参拝問題」と捉えるか、「日本の首相の靖国神社参拝問題」と捉えるのか、「靖国神…

 祝?当ブログ開設1カ月

◇どうでもいいと言われればそれまでだが、当ブログの初記事upから、昨日の朝9:00過ぎで1カ月を迎えました。記事を見てくださった方々、コメントを寄せ、TB貼ってくださった方々ありがとうございます。はてなのキーワードリンクや簡便なTBシステムにも感謝…

 「古き良き時代」の葬送

◇昨日、(9日に書いた)先生のご葬儀に行ってきた。通夜はともかく告別式に参列したのは久し振りだった。人の葬式のことなど決して「評」すべきでも、表に出すことでもないが、感じたことをいくつか備忘としてあえて書いておきたい(細かい事実にも触れるが…

 靖国、天皇、「死者を祀る」ということ、「女系」容認問題

◇今日も色々な媒体で情報を得たのだが、一番印象に残ったのは(また)毎日新聞の論説委員・金子秀敏氏のコラム「早い話が」(9日夕刊4面)。まず、神職の資格を持つという綿貫民輔・前衆院議長の言葉を引き「天皇は大神官」とする*1。さらに、昨年石原慎太…

 雑誌『SPA!』創刊17周年記念号 (『半島を出よ』酷評の続き、ほか)

◇もうすでに手に取った人も多いのではないかと思うが、昨日発売の男性?週刊誌『SPA!』は創刊17年で、8ページ(ペラペラだが中身は濃い)の付録つき(いつもより20円高いが)。私は例によって、この雑誌も最近になるまで大して読んでいなかったのだが、年…

 「日本思想史」という大問題 (靖国論議の混迷に寄せて)

◇珍しくTVの(ニュース以外の)報道番組を観て、興味が湧いた。今朝のフジ「報道2001」(http://www.fujitv.co.jp/b_hp/2001/)とりあえず、TV欄見出しは「今こそ靖国参拝を徹底検証…前宮司と東条英機の孫語るA級戦犯?」。多彩な顔ぶれで、いろいろな論点が…

 私たちの時代の「宗教」的基盤 (石原慎太郎「儒教的」論考と絡めて)

◇石原氏周辺を継続的に取材されている上杉隆氏によれば、結局何らかの「秘策」を用いて浜渦武生氏が今後の都政で実権を持ち続けるだろうとの見方*1。また、知事自身は、都政へのモチベーションは著しく低下しているらしい。 ◇なお、3日の毎日朝刊「記者の目…

 福田和也、村上龍『半島を出よ』を酷評

◇すでに昨日発売の『週刊新潮』の「闘う時評」。 北朝鮮の工作員の描写などステロタイプのオンパレードで、上下各500ページは長過ぎ、一方、日本人の描写は国民としていかに無能かを好んで書いている云々といった内容(かなり雑な要約)。この評価は、読んで…

 「石原慎太郎」を誰がどう利用したか?

◇「フランス語は数を数えられない」失言に対して、港区の仏語学校長ら提訴の動き、と朝日記事で読むと、実に嬉しそうに書かれているように感じるのは気のせいか。http://www.asahi.com/national/update/0602/TKY200506020225.html?t5 ◇毎日の朝刊3面「クロ…

 杵屋正邦の「風動」「第3風動」

◇また前回書いた現代邦楽の話題から(なかなかクラシックにたどりつかないが、たまたまです)。なにしろ「日本音楽の巨匠」シリーズから2枚を首尾よく(新開店後1年にして初めて行った)新宿ディスク・ユニオンで手に入れたので。この2曲が入ったCDをわざ…

 岡倉天心展の雑感

◇始まってから大分経つが、神宮前のワタリウム美術館で開催中の「岡倉天心展・日本文化と世界戦略」に行ってきた(6/26まで開催)。ここは、普段は私立の現代美術の専門館ということだが、一方で7年前から、近代に日本美術の伝統美の再発見を支え、それを…