2008-01-01から1年間の記事一覧
◇ちょっと言っておきたいのだが、何か自分が抱えている不満や孤立感のようなものを起因として人の命を奪うに至るというのは、利己主義の最たるものであり、自ら「人の道」を外れ、「畜生」以下に成り下がる最低の行為である。こんな当たり前のことを書くのは…
◇さて、実に長かったこの記事もようやく終わりにたどり着いた。ここまで来てもミャスコフスキーが嫌いだという人は、おそらく存在しないだろう(ここまで読まないだろうから)。が、それでもやはりミャスコフスキーは分かりにくい…と思うなら、いっそのこと…
◇すでに後期交響曲について述べたが、スヴェトラーノフの解釈の巨大さがあればこそ、ミャスコフスキーのやや晦渋な作風も昇華されてより美しく表現されている。第24番〜第26番などは他の指揮者・オーケストラには全く近づくことが許されない領域ではないか。…
◇これは、90年代のスヴェトラーノフとアカデミー交響楽団に関することだが、そのオーケストラ配置が独特である。ヴァイオリンの左右対向配置(向かって左に第1Vn、右に第2Vn)は最近ではかなり一般的で、ヴィオラが右、チェロとコントラバスが左奥、という…
◇ミャスコフスキーは、本当は他のロシアの作曲家たちと同じく、親しみやすい作風で曲を書くことができる(いわゆる「社会主義リアリズム」にも、その気になればもっと同調できたはずだ)。しかし、「交響曲」に関しては、非常に禁欲的な作風、抑制したオーケ…
◇さて、この記事自体もマラソン的になってきたが、ここでミャスコフスキーの作風の変遷を整理すべく、時代区分を試みてみる。従来これに類するものは、Eric Schissel(という人)による3期区分くらいしかないようだ(少なくともWeb上には)。 「時期区分を…
◇ミャスコフスキーの正体不明の作風は、馴染めないと本当に馴染めないので、20世紀後半の前衛音楽より性質の悪いとも言われるが、それにしても、暗い曲を書けば沈鬱な作風でもやもやしてはっきりしないと文句を言われ、明るい曲を書けば体制迎合的だと非難さ…
◇単純に言って、チャイコフスキーを第5番か第6番から、ショスタコーヴィチを第5番から聴くように、傑作から聴くのがいいだろう。まずは第5番か第27番を聴きたい。 ◇第5番二長調Op18(1918)★★★は、ミャスコフスキーの出世作で、初期の傑作。第1楽章がA…
◇第10番が約16分、第13番が約20分、第21番が約18分、どれも単一楽章作品で、「これくらいなら聴きやすいのでは…」と思うと、思い切り裏切られる。 ◇第10番へ短調Op30(1927)は、「青銅の騎士」を題材にしたR.シュトラウス張りの交響詩だが、お世辞にも聴き…
◇全集なので、つい「27曲を番号順に」などと考えてしまいやすいが、これも失敗の元。OLYMPIA盤も今回の全集も第1番から始まっているのでなおさらである。しかし、ミャスコフスキーの第1番ハ短調Op3(1908/1921改作)は、特に第1楽章がチャイコフスキー…
◇「交響曲全集」と題されているが、交響曲から聴くべきではない。OLYMPIAの全集リリースもこの点で失敗している。せっかく親しみやすい管弦楽曲が録音されているのだから、それを入門として聴くべきだ。ミャスコフスキーは、後で述べるように、特に交響曲で…
◇政治問題、事件、災害打ち続く中ではあるが、私は今しばらく音楽や学芸について語っておきたい。例によって長い(HTML記号を入れて14,000字超)が…。 【目次】 方法1「交響曲から聴かない」 - ピョートル4世の<孫の手>雑評 方法2「番号順に聴かない」 - …
音楽を聴くのは生きる意味を問うことだった。だから音楽を通じて自らの人生を生きる指揮者たちのことを彼らの言葉に即して書きたいと思っていた。二十世紀という激動の時代を多くの困難に耐えながら、時には戦乱のなかで命をかけながら音楽を支えに生きた指…
ミャンマーと中国へ祈る 天は吼え 地は裂け なぜ無辜の民より罪せられるか 天はかくも不条理か 古来の思想に従えば 命は天からの授かり物 ただそれを返す日まで 戒慎して生きるのみ 生きている我らとて 常に恥多き日々 何ものも意のままになる ものはない 修…
◇私の望みは満たされた―。私が8大「最上級」指揮者の1人に選定した「渡邉暁雄の指揮で幅広いレパートリーを聴きたい」という前回エントリで記した希望は、日本フィル、TOKYO FM、デンオン、フォンテック、日本シベリウス協会などからリリースされて…
魅力的な指揮者の特質 ◇渡邉のシベリウスやマーラーを聴いて受けた衝撃と充実感は、例えばバルビローリのマーラー、ケンペのブラームス、マルティノンのサン=サーンス、コンドラシンのラヴェルなどを聴いた際の衝撃・充実感と全く同質であった。出谷啓氏が…
◇全集についても、いつのまにかこんなに手に入りやすいかたちでリリースされていたとは。昨年7月に再発のデンオンCOCQ-84283~6。4CDでわずか3,675円!*1。デンオン(コロンビア)さんありがとう(最近マタチッチのシリーズが出たが、渡邉暁雄もシリーズ…
シベリウス:交響曲第1・4・7番(TDKコア)・第2番(EMIアポクリファ) ◇さて、ここまで聴いた私は慌てた。そ、そ、そういえば、上記CDを買ったタワレコで、ちょうど1枚1,050円のスペシャル・プライスで渡邉暁雄指揮ヘルシンキ・フィルのシベリ…
◇渡邉は、「日本の」という限定を付けるのが馬鹿らしいほどの最上級の指揮者であることを、以下縷説するが、今回、渡邉暁雄の演奏にどのように入り込んでいったかというところから書いておきたい。それは、かなり変わったアプローチだった。 グリーグ:ペー…
◇「渡邉(渡辺)暁雄のシベリウスは良い」という世評を知ったのはいつのことだったか。かなり前から知っていたはずだが、シベリウスの交響曲全集としては、これもバイブル扱いされているベルグルンド盤(ヘルシンキ・フィル、EMI)*1、バルビローリ盤(交…
◇2月末に近所の本屋に行って、普段はチェックしない「哲学・思想」コーナーが「ふと気になって」覘(のぞ)いて、見つけたのがこの本だった。以前取り上げた『概説日本思想史』*1は出版後1年半も見逃していたのに、この本を出たばかりで見つけることができ…
1992年10・11月 テルデック1997年(9031762622) 68:56(16:34/21:46/14:32/16:05) ◇この演奏も今回の聴き直しで大きく印象が変わった。8種の中で最も長大。第1楽章の静謐さはロジェストヴェンスキー盤からさらに徹底された感じ。 1.祈りの静けさ、…
1992年3月25日ライブ(NHKホール) コッホシュヴァン1993年(313272) 66:42(17:14/20:26/13:42/15:27) (画像なし) ◇圧倒的に聴き慣れているのと思い入れが強いので、いまさら客観的に評価するのは難しいが、今回の聴き直しの後もやはり私の中の…
1989年12月スタジオ ドイツ・グラモフォン再発1998年(4594152) 54:49(13:49/17:01/10:30/13:30) (初発盤) ◇今回の聴き比べのために急遽購入。前から存在は知っていたし、ヤルヴィ盤はリムスキー=コルサコフやグラズノフの管弦楽曲の決定盤にしてい…
1983年スタジオ BMG1998年(メロディア音源)(74321634612) 65:08(17:58/22:26/9:59/14:45) (画像なし) ◇今回の聴き直しで最も印象が変わった録音。特に、第1楽章の雰囲気は、本当に凍てつくようで、群を抜いて素晴らしい。おそらく演奏史上で…
1973年9月7日スタジオ アウロス(メロディア音源)2004年(AMC2043) 53:54(12:30/17:28/10:28/13:24) (BMG国内盤) ◇打楽器の刻み・弦の泣き・金管の鳴り、どれをとっても不満はない。しかし、コンドラシン特有のテンポの速さ(ストラヴィン…
1958年5月19日スタジオ テスタメント(EMI音源)1996年(SBT1099) 59:50(15:32/17:53/13:59/12:25) ◇トランペットのシグナルなどフランス的な色気と柔らかさを感じてしまうが、指揮はロシアものには向いており、ショスタコーヴィチ臨席という象…
1959年2月2日スタジオ メロディア2004年MELCD1000775 60:18(15:28/18:23/11:29/14:43) (国内盤) ◇ステレオ録音でライブに比べてより普遍的な演奏に仕上がっていて広くお薦めできるが、フィナーレはライブの強力さに負ける。 1.ライブに比べ…
1957年11月3日ライブ(レニングラード初演) ロシアンディスク1993年(RDCD11157) 56:23(14:47/16:49/11:29/13:17) ◇モノラルなのだがそんなことは途中でぶっ飛んでしまう壮絶な演奏。ムラヴィンスキーのショスタコーヴィチについては、一時期、…