文芸短信

 未刊だった谷川俊太郎「98のソネット」がついに!

◇「谷川俊太郎「詩を書く楽しさ」 - ピョートル4世の<孫の手>雑評」で書いていた、幻の98のソネットがついに刊行された! 1953年に刊行された谷川俊太郎の第2詩集『62のソネット』は98のソネットを記したノートから父谷川徹三の助言を参考に取捨選択された…

 旧暦新春ご挨拶と週刊誌エセーの話

◇本日は旧暦(太陰太陽暦)元旦です。保守派だけに、このめでたい日にブログが再開できるのは喜ばしい限りです。なんて…ただ、放置してただけですが。 ◇旧暦と言えば、鴨下信一氏が「人生のごほうび」(毎週火曜発売『サンデー毎日』 http://www.mainichi.co…

 東浩紀先生、「電車男」は「美少女ゲーム」的世界

本日『毎日新聞』朝刊6面「論点…『電車男』ヒットの背景」 ◇ネット系の話題ははっきり言って少ない『毎日新聞』が、遅ればせながら「電車男」現象を1面分の「論点」欄(論者3人)で扱う。東浩紀先生のほかに、精神科医(トラウマ系で有名)・小西聖子氏と…

 三浦雅士「小林秀雄は批評家ではない。編集者である」

「この人・この3冊:編集者としての小林秀雄」 from『毎日新聞』本日9面 ◇刺激的な冒頭の一文に続けて言う、「批評の方法については怪しいものだが、編集については、方法といい業績といい第一級である」と。高校時代、教科書に載っていた小林秀雄の悪文に…

 海外文学で(「反日」からテロまでの)現代を読む

◇私は、哲学畑出身で、しかもあまりに本を読むのが遅いくせに、読めない分まで沢山本を買ってしまうので、一時期文学作品は買わないように自分で自分に制限を課していた(思えばそれも大きな失敗だった)。そんな人なので、例えば『毎日新聞』金曜夕刊連載の…

 なぜか気になる石田衣良 (&1980年代の日本について)

◇R25の隔週連載エセーが面白いという以外、特に作品を読んだわけでもないのに、石田衣良がやたらよく目に付き、つい読まされてしまう。先週の『週刊アスキー』では、進藤晶子のインタヴューに答えていた(本名の姓が「石平」で、電話に出るとき便利だとか…。…

 谷川俊太郎「詩を書く楽しさ」

◇「著書を語る」枠の記事で、4月に出た詩集『シャガールと木の葉』*1に関連しての短いエセー。掲載されているのは、ジュンク堂書店発行のPR誌『書標 ほんのしるべ』6月号(初めて見た…。たまたま昨日大宮店で)。5日に出たようだが、あまりに地味な媒体な…

 雑誌『SPA!』創刊17周年記念号 (『半島を出よ』酷評の続き、ほか)

◇もうすでに手に取った人も多いのではないかと思うが、昨日発売の男性?週刊誌『SPA!』は創刊17年で、8ページ(ペラペラだが中身は濃い)の付録つき(いつもより20円高いが)。私は例によって、この雑誌も最近になるまで大して読んでいなかったのだが、年…

 福田和也、村上龍『半島を出よ』を酷評

◇すでに昨日発売の『週刊新潮』の「闘う時評」。 北朝鮮の工作員の描写などステロタイプのオンパレードで、上下各500ページは長過ぎ、一方、日本人の描写は国民としていかに無能かを好んで書いている云々といった内容(かなり雑な要約)。この評価は、読んで…

 枡野浩一氏の職業歌人論に答えて

(再び石田衣良と文芸について(+枡野浩一氏のコメント) - ピョートル4世の<孫の手>雑評の続きです。) ◇まず多々失礼にかかわらず対話していただいて感謝。私は傍観者のままできましたが、「物書きの仕事」という言葉遣いから伝わってくる実感について何…

 再び石田衣良と文芸について(+枡野浩一氏のコメント)

◇昨日のR25巻末エセ−。今回はネタがないのをネタにして書き出していた。本人が「職業作家生活も7年目を迎えて、ぼくもずるくなりました」と書くように、これはこれで作家らしい文章ではある。しかし、途中まで、藤井フミヤの依頼を受けての作詞初体験を思い…

 佐伯一麦インタビュー「無根拠であることと『私小説』」

◇これも旧聞に属するが、いつのものでも良いものは良い。朝日新聞社PR誌『一冊の本』4月号より(副題『川筋物語』と『鉄塔家族』をめぐって」)。この人の作品は実はまだちゃんと読んだことがないけれど、「私小説」(=近代日本の小説の主流)について、実…

 石田衣良「空は、今日も、青いか?」

◇読み逃していたが、GW前のR25*1(№42)最後のページに出ている石田衣良のこのエセ−、作家らしい文章でとても良い。前回のエセ−にライブドア関係者からの抗議文(法的対応予告文付き)が届いたそうで、それに対する謝罪・訂正なのだが、実にうまく「ライブド…

 阿部和重の実家の話

◇7日に出た婦人公論http://www.chuko.co.jp/fujin/(5月22日号)に、阿部和重のインタヴュー。女性誌らしく、作品(『グランド・フィナーレ』)にはほとんど触れず、実家近辺の話が多い。実家はパン屋で、その向かいには銀行の両側に映画館と本屋があった…