「政府サイト人名漢字表 文字化け20字以上」
◇かなりマイナーなニュースから。上は12日毎日新聞夕刊社会面の見出し。最初見て、某国民によるサイト攻撃のニュースかと思ってみたら、「電子政府の総合窓口」*1ページにミスが放置されていたそうだ。しかも、人が一生背負うことになる人名用の漢字表がだ。その原因は官報からデータを転載した際の文字化け…。総務省情報システム管理室の組織の程度が窺われる。
◇そもそもこの表は、2004年9月に、戸籍法施行規則が改正され、人名用漢字488字*2が追加されたもの。その決め方は確か、漢字の意味など全く無視して表を提示し、さすがに「糞」など批判が多かったものだけ除いたように記憶している。
◇別に今更上げ足取りの役人批判がしたいわけではない。しかし、今回の記事中にも「倦」(←これも化け字)の例が出ていたが、これ、「くたびれる」「飽きる」「足を投げ出してうずくまる」という意味の字だよ。親が選ぶのはともかく、子どもにつけていい名前かね。子どもが自己決定して改名するのを待つわけ?「自由」の意味の履き違えもいいところ。
◇齋藤孝でもないけれど、漢字・漢文の教養の崩壊はひどい。これは文化戦略の問題だ。中国の簡体字、台湾の繁体字、朝鮮半島の漢語(私は話せないけど、朝鮮・韓国語はニュースの日本語字幕と発音と一致してるじゃない)、ヴェトナムはどうかな…、デジタル化対応はどうなっているのか(今更手遅れ?)誤字や戦後の中途半端な簡略化を放置している日本の現状は文系人間として悲しい。「反日」も深刻だけど、中華文明圏とか、東アジア共同体とか言う前に、漢字という巨大な文化ツールをどこがリードするのか、そういう国家戦略があっていいのでは? TVの字幕も10年ほど前から誤字だらけ。漢検の普及で、次世代の改善を待つしかないのか。
◇10年来の(?)日本語ブームで読まれたのは、大野晋や丸谷才一? 文語文なら山本夏彦『完本 文語文』*3や福田恒存『私の国語教室』*4、漢字については原田種成『私の漢文講義』*5か。私もそんなに読んではいないが、日文の人も読んでないんだろーね。
*1:http://www.e-gov.go.jp/index.html以下のお詫びあり。「この度は、電子政府の総合窓口(e−Gov)で提供している法令データのうち、戸籍法施行規則(別表第二)に規定されている人名に用いる漢字について、人名用ではない漢字が誤って掲載されていたことで利用者の皆様には多大なご迷惑をおかけし、深くお詫び申し上げます。今後はこのような事態の再発防止に万全を期するとともに、正確かつ利用しやすい法令データの提供に努めてまいります。」肝心の表がどこにあるのか、出てこない。
*2:当然このリンク先も文字化け。「正しい字」を簡単に表示する方法が普及してないのがそもそもの問題。出生届窓口では「縦棒が曲がっているから訂正を」と要求されたことがあるんだけど。
*3:
*4:
*5:売れないのかやや高いが、確か名著。画像なし。