「シナ」用語について
◇たまたま中国を「シナ」と呼ぶ用語が使われているのを見たので、それについて思い出した事を少々。
◇確か「シナ」は、Chinaと同じく古代中国の国号「秦」に由来し、近代には「支那」(例によって自主規制で変換不能か)という表記で一般に使われました。「支」は「ささえる」「枝」という意味で、「本支」という熟語もあるくらいなので、日本=「本国」、中国=「属国」という意味になり、中国人にとっては自尊心を傷つけられ侮辱である。
◇「しかし、『シナ』表記なら単に国号の発音に由来するから、別に侮辱も差別もしていない。『中国』の方こそ、『世界の中心・最先進国』という思い上がった国名だ。」と。こんな発想で「シナ」を使うことを広めたのは、石原慎太郎氏ということでいいんでしょうか?
(以上、適当に思い出して書いたので、間違いがあれば指摘してください)
◇私は、中国の文化伝統をそれなりに愛し、中国の現政権には徹底的に不信感を持つ者です。それで、私は、「シナ」という呼称をわざわざ使おうとは思いませんし、使う人はあまり賢いとは思いません*1。なぜなら、日本こそ大して難しい歴史をひも解くまでもなく、古代以来、中華帝国を中心にした東アジア秩序の中で、かなりしばしば中華帝国の権威に従わない国であり、また、「日本」という(大国「中国」を西に意識しながらも)この地は属国ではなく「本国」であるという国号を発明した国であるからです。しかも、近世(江戸期)には明清交替の混乱の続く大陸に対して、今や「日本=中国」であるという考えを表明する学者たちもいました*2。
◇その意味で、「日本」も「中国」と同程度に尊大な国号でしょうから(別に尊大でかまいませんよ。おらが国はどこもそうです。)、かえって今更「中国」の方だけをことさらに引き下げようとする*3のは、「日本大停滞・中国急成長」という近年の状況(それすら読み間違いかもしれません)に対するコンプレックスを自ら表明しようとするようなものだからです。コンプレックスは誰にでもありますが、自分でそれを表に出すのはみっともない行為で、人に嫌われるだけです。以上、私の勝手な思い付きでした。