中国「小泉ショック」? アメリカの「男女別学」動向

◇今週の印刷媒体記事から、今まで当ブログのエントリで書いてきた「文化戦争」*1に関係しそうなものを、2つほどつまみ食い的に紹介(記憶で書いているのでやや不正確かもしれません)。

中国指導部「小泉ショック」か(上村幸治氏「インサイド中国」『サンデー毎日』隔週連載)

◇「小泉圧勝」を中国指導部がどう受け取るかの観測記事。中国指導部としては、従来小泉政権の強硬姿勢を嫌って無視を決め込んでいたが、望んだ政権交代どころかこの圧勝で、おそらく小泉政権に擦り寄ってくるのではないか(次に安倍晋三らが出てきたら…)、と観測。中国指導部は、経済の先行き不安(さんざん指摘されていることだが、都市/農村の格差拡大、エネルギー不足、環境問題悪化など)から、そろそろ本気で日本と関係改善したい(また援助を受けないと国が立ち行かない可能性もある)という。
◇筆者の上村幸治氏は、キーワードにもあるように、元毎日新聞中国総局長。『毎日新聞』は、時に対中観が厳しい(「現実主義」的? 例えば、論説委員金子秀敏*2は、ほぼ櫻井よしこ氏−『産経新聞』並み)が、こういう優れた人材がいたわけだ。

アメリカの学校「男女別カリキュラム」導入運動(『NewsWeek』日本版)

◇「男女の脳の違い」なんてのは、トンデモ・レベルかとも思うが、アメリカではこういう動きもあるらしい。一応書いておくと、「男性は神経伝達物質セロトニンが少ないため落ち着きがない。女性はホルモンのオキシトシンが多いため親密な人間関係を好む」などの認識から、男子は休憩を多く入れて、授業の合間に軽い運動などをするカリキュラムに。女子には教室内にくつろげるスペースを作るとか。
◇社会哲学者のマイケル・グリアンなる人は、「現在の学校では女子が優遇されている。教師は女性が多く、自分にあったやり方で教えている。学習障害(LD)は男子が70%を占めている。云々」と主張しているらしい。
◇日本では、「ジェンダー・フリー」がすっかり政治闘争(=文化戦争)の具と化しているが、それよりはマシか。細木数子がしつこく言う「男女は同権だが、質は違う」というのと結論的には一緒になる。私も一応教壇に立ったことがあるが、これも確かに「現実的」かもしれない。

朝日新聞大見出し「北朝鮮が核放棄確約」(9月20日付)

◇最近「ネット右翼」並み?に反朝日的な私だが、第4回6カ国協議共同声明を受けたこの見出しをたまたま23日に見てギョッとした。1面トップ、『毎日新聞』ではしばらく見た覚えのない大きさの白抜き文字。記事内容は『毎日』より詳細な部分もあるのだが、社説で「やっと出発点に立てた」「これからの道行きが容易でないことは間違いない」と書くのに、何でこういう大見出しなのか…。
◇21日から早速、北朝鮮軽水炉提供が先だ」、アメリカ「核放棄が先だ」という応酬が始まった時には「もう始まったか」とさすがにうんざりだったが、そもそも今回の共同声明は「(政権運営が何かと苦しい)アメリカが最大限譲歩して協議の決裂だけは避けて、11月から第5回協議を始めます」というのが、実質的な眼目だったのは当日から明らか*3なのに(ちなみに、同日1面『毎日』見出しは、「『北朝鮮の核放棄』文書化」と冷静)。見出しとTV欄しか見ない大衆を操作するような見出しのつけ方では? あるいは、本当に「夢想的な」新聞であることがアイデンティティなのか? と言いたくなる。これで広告営業力が強いから気に障るわけで、そうでなきゃ本当にただの三流紙ではないかと思ってしまう。
◇なお、今週の『週刊新潮』は朝日「全社緊急集会」の様子を、面白おかしく伝えている(メディアのネタがメディアというのは少々情けないか)。
◇さて、文化戦争といえば、次のエントリでは「歴史教科書問題」は本当に社会問題なのか、ということを書くつもり。これは、個人的にはleleleさんへの暴発一件のきっかけにもなっていたので、しっかり書いておきたい(相変わらず不勉強ながら)。書くとおそらく、仲正×北田両氏トークセッションへの感想も入ってくるはず。

*1:【3:私たちの時代の「文化戦争」】 - ピョートル4世の<孫の手>雑評」など。

*2:木曜夕刊にコラム「早い話が」を連載中。WEB版はこちら「http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/kaneko」。

*3:【9/30補足】櫻井よしこ氏も、『週刊新潮』連載「日本ルネサンス」で同様の見解を書かれていた。いや、私なんぞと違い、もっと格調高く、問題射程は深くですが。