【1】 報道のエスカレーション?

◇前回8/19のエントリを上げた翌日から、選挙情勢報道が凄いことになった。木走氏のページを参考にまとめると、以下のとおり。

8/20朝日新聞「民主300議席うかがう勢い」
「何だって!? 320!?」〜民主単独政権も可能な地滑り的勝利を目指す民主党 - 木走日記
8/21読売新聞「民主300議席超す勢い」
8/21日経新聞「民主、圧勝の勢い 300議席超が当選圏」
アナウンス効果はあるのか〜”暴風”と”負け犬”の関係 - 木走日記
8/22毎日新聞「民主320議席超す勢い 自民100議席割れも」
http://mainichi.jp/select/today/news/20090822k0000m010148000c.html
8/23共同通信「民主圧倒、300議席超の勢い 政権交代強まる、自民激減」
http://www.47news.jp/CN/200908/CN2009082201000714.html
8/23時事通信「民主300議席上回る勢い=自民激減100前後か−公明も苦戦」
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009082300191

◇前回のエントリでは、選挙結果について慎重な見方(自民巻き返し感)を記した。実際、解散後の各社の世論調査では、内閣支持率は20%前後にほぼ固定(森内閣レベルには下がっていない)、不支持率はむしろ数ポイント下がることが多かったし、小選挙区における自民党議員個人後援会を中心とした活動に底力を感じるところがあったためである。
◇今回の選挙では、民主党優勢は覆らないとしても、300議席の大台に乗ることはなく(つまり「郵政選挙」を超えることはなく)、精々が安定多数252議席(全常任委員会の委員長・半数確保)ないし絶対安定多数269議席(全常任委員会過半数)を確保できるくらいで、3分の2の320議席参院否決法案の再議決など)は考えていない、というのが21日までの私の想定だった。
(「安定多数 - Wikipedia」)
―確かに「郵政選挙」で実証された、小選挙区制のシーソーゲーム性があるとはいえ、300議席を超える圧倒的多数はないのではないか。事前の各週刊誌の予測よりも極端に過ぎる。あすてらす組3誌は、いまいち信用ならないので、個人的に偏愛する毎日新聞の分析を待とう―という思いでいた。
◇それだけに、先週8/22(土)に毎日新聞朝刊を郵便受けから取り出した時に、私は周りの人の目も気にせず、思わず「ぶっ」と吹き出してしまったのだった。
毎日新聞では、他社調査より早く民主党支持率が自民党支持率を上回っていたりして、これまでも民主党寄りの世論調査結果が出ていた気はしたが…。320議席確保、さらには立候補者330人全員当選の可能性、また比例名簿の立候補者不足による他党次点候補への議席割振りの可能性まで指摘している。何だろうか、この凄まじさは、と絶句した。
◇前回、自民党が圧倒した2005年の郵政選挙の情勢分析はどうだったかと思っていたら、24日のNEWS23で絶好のレポートがあった(動画が下記リンク先で見れる)。
(「過去の情勢分析にみる選挙結果は」「http://news.tbs.co.jp/20090824/newseye/tbs_newseye4218099.html」)
情勢報道と選挙結果の関係をまとめると、以下のようになる。

2007参院選 「自公過半数割れ、民主第1党」 →予想どおり
2005郵政選挙 「自民単独過半数〜安定多数」 →296議席(予想上限上回る)
2000森政権選挙 「自民単独過半数〜安定多数」 →238議席過半数割れ

◇情勢報道が選挙結果に+−の影響を与える「アナウンス効果」については、前回のエントリまたは木走氏のページですでに触れた。
◇ちなみに、各社の情勢調査の信頼度はどうかという辺り、私は統計学などの知識に乏しいので判断できないが、各社ネット上の記事で確認できた調査方法・規模を比べると、以下のとおり。

調査元 調査期間 対象 有効回答数
朝日新聞 8/18・19 91,411件(150選挙区) 60,277
読売新聞 8/18・19・20 全国約11万人 不明
日経新聞 不明 全国約21万人 約11万人
毎日新聞 8/19・20・21 300選挙区 77,858
共同通信 8/20・21・22 全国155,100人 不明
時事通信 8/21・22・23 不明 不明

◇案外、調査規模が異なるという印象。なお、調査方法では、先頭の朝日新聞だけが、「300選挙区中150選挙区を、全体のモデルとなるよう構成して結果を2倍に」するという手法を取っているようである。