今こそ民主党政権を徹底的に支持する。

◇昨年、選挙前夜に一文(「「変革」の前夜に寄せて - ピョートル4世の<孫の手>雑評」)をものしてから、また例のごとくのドタバタで言論を放置、そして本日の鳩山首相辞意表明に至った。
◇確かに鳩山政権の普天間移設問題への取り組みは、その初発から極めて稚拙だった(毎日新聞5/31朝刊の「検証 普天間移設」という丸2面に渡る記事に詳しい)*1。しかし、だからと言って、日本国民の誰が鳩山首相を批判する資格があると言うのか? この点において、私は沖縄県民にすら一切妥協する気はない(ついでに言えば、最近八重洲でよく行なわれている「沖縄基地移設反対デモ」は鳩山政権の少なくとも50倍くらいは稚拙な印象を与えるものだ)。
◇今ここに至っては、私はただ菅直人総理大臣の登場を切望する。1996年、民主党結党に先立ち、橋本内閣で厚生大臣に就任した菅直人は、官僚の資料隠しを初の「大臣命令」でコントロールし、厚生大臣としての被害者への謝罪を実現させた*2。1998年、金融再生法案を小渕内閣に丸呑みさせた(菅直人はあえてそれを政局にしなかった)*3。これらは言わば、「政治主導」の本家本元が菅直人であることを示している。これらの行動がなければ、私たちは「政権交代」や新しい政治のイメージすら描くことができなかったはずである。
◇むろん、この状況で、仮に「菅直人首相」が実現したとして、事態が急に好転することはない。いわゆる反小沢(仙谷・野田・前原・枝野)こそ、この民主党政権の本流と考えたいが、一方で現実的な権力基盤としての小沢グループから距離を取る訳にもいかない。この困難な権力の分裂構造を克服できるのか? 菅直人は、単なる市民主義的な政治家ではなく、現実的で鋭い政治的嗅覚をも備えている、という一点に賭けてみたい。私にはこの選択がせめて現実的なものに思える。みんなの党の歯切れの良さに期待する人は別にそれでよい。しかし、みんなの党にはまだまだ現実的な権力基盤が整っているわけではない。
◇それにしても、小沢一郎がここまで醜悪なバラマキ政治家根性を剥き出しにするとは、全く意想外であった。もはや小沢一郎の政治感覚は、90年代にその新鮮な議論から影響を受けた私たち国民の意識とは決定的に乖離してしまった。小沢一郎には政治の世界からの完全な退去を希望する。消費増税なしの10年後の日本をもはや私は想像することができない。鳩山の「親指立て」は「小沢を切ったぞ」という意思の表現だったという説がある。せめてこの置き土産を今後の民主党政権に活かしてもらいたい。
◇小沢・鳩山の政治資金問題は、昨年の選挙前から週刊誌レベルでは完全に周知のものだったので、いわゆる「政治とカネ」の問題で不支持を煽ったメディアには全く呆れ果てる。そんなことは初めから分かっているはず! むろん決して良い事ではないが、民主党政権が出来上がって以後にこれらを問題として認識したというのはあまりにカマトトが過ぎる。なお、民主党政権マニフェスト実行状況は毎日新聞の「鳩山政権の通信簿」参照(「政治 - 毎日新聞」)。
◇「小泉以後」の「政権使い捨て」がまた繰り返された。鳩山政権の支持率・不支持率が綺麗に逆転していくグラフ。その中で残った20%弱の支持。誰が無定見なのか、誰が指導力を失っているのか、よく考えてみる必要があると思っている。
◇今日この事態を通じて、私ははっきりと「反小沢」の立場となり、そして、根深いレベルでは「反米的」な無意識が確立したように思う。