方法2「番号順に聴かない」

◇全集なので、つい「27曲を番号順に」などと考えてしまいやすいが、これも失敗の元。OLYMPIA盤も今回の全集も第1番から始まっているのでなおさらである。しかし、ミャスコフスキー第1番ハ短調Op3(1908/1921改作)は、特に第1楽章がチャイコフスキーの影響を引き摺った、ラフマニノフの「ユース・シンフォニー」をさらに肥大させたような作風なので、最初に聴くのはお薦めできない。
◇しかも、スヴェトラーノフの演奏はここでも序奏からやたらスケールが大きく(普通に聴けば単に遅いだけにも聞こえるので)、たぶんなじめない人はそこでもう嫌になってしまうだろう(ただし、第2楽章のアルカイックな美しさは、第27番までの緩徐楽章の美しさを予告している)。第1番では、1996年リリースのロジェストヴェンスキー盤(RUSSIAN REVELATION RV10069)の方がすっきりしていて聴きやすい。
Miaskovsky;Symphonies 1 & 5(画像はなぜかリーフレット中面)
◇続く第2番嬰ハ短調Op11(1911)、第3番イ短調Op15(1914)も、ミャスコフスキーの全交響曲の中で一番親しみにくい部類(スクリャービン神秘主義の力作ではあるが)なので、番号順に聞くと傑作にたどり着く前にミャスコ嫌いになること請け合いである。
◇じゃあ、何番から聴くか。それは、ミャスコフスキーの作風変遷の時期区分に関わるので後述するが、それぞれの時期の充実作で言うなら、第5番、第18番、第20番あたりが候補になるだろうか。