『アジア辺境論 これが日本の生きる道 』(集英社新書)

◆最近、内田樹の議論を以前ほど丁寧に追っていなかった。 そのせいか、昨日書店で何気なく『アジア辺境論 これが日本の生きる道 』(集英社新書)を手に取りページをめくったところ、 「共和制」と「グローバリズム批判」との関係についての実に瞠目すべき議論…

オーケストラ・ダスビダーニャ第22回定期演奏会を振り返って

◆いよいよ明後日1月31日に第23回オーケストラ・ダスビダーニャ演奏会が迫っているが、都合によりお蔵入りになっていた昨年の第22回の感想を上げて、今回への予告としたい。 ◆当日は、ホール手前のラウンジでプレコンサートが行われた。開場時間が開演の1時…

オーケストラ・ダスビダーニャ第21回定期演奏会の感想〜アンネ・フランク、ウクライナ、日本社会をめぐる理想と現実〜

◆今年もオーケストラ・ダスビダーニャの演奏会に行くことができた。喜ばしからずや。今までにないほどのさらに充実した演奏を聴くことができた。また楽しからずや。音楽としてあくまで上質でありながら、音楽を超えたものを示す。また君子ならずや。 ◆何やら…

川口市制80周年記念「至宝の日本画展」(11/11まで)

◆川口駅前の総合文化センターリリアでは、以前にもモーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトの手稿展示などの小規模な無料展覧会が行われていたが、今回は市制80周年記念ということで、箱根・成川美術館から日本画約40点の出品。期間が11/11までと短いが…

 オーケストラ・ダスビダーニャ第20回定期演奏会の感想〜ショスタコーヴィチ交響曲第4番について4ヵ月近く考えたこと〜

Shostakovich Symphony No.4 - Trickster,Tyranny,Mystique,Mahler. An Essay on Orchestra "Do Svidanya" #20 Concert ◆私にとって13回目のダスビ(オーケストラ・ダスビダーニャ - Wikipedia)定期に臨席したのが3月3日。昨年の3.11後ちょうど1年後の…

【2】「震災後の音楽」について

震災発生後の心情 ◆上記演奏会の感想を書きかけのまま、3月11日の金曜日にそれは来た。勤務先の都内のビルの6階にいたが、バブル期の建築のせいなのか(?)、近隣のビルより多少揺れが強かったらしく、女性が叫び声をあげるなど恐怖を感じた。その中で1…

【1】第18回定期演奏会(2011年2月20日)の感想

アニメ映画「司祭とその召使いバルダの物語」の音楽Op36より9曲(1934-35) ◆この曲は、CD等で聴いておらず、聴く前は単に「コミカルな曲」といったイメージで捉えていた(油断していた)。しかし! 開演時の拍手後、間を置かず鋭く指揮棒が振られると、出…

第18回オーケストラ・ダスビダーニャ定期演奏会の1年遅れの感想〜東日本大震災1年の定期演奏会へのはなむけに〜

◆ここに掲げるのは、2011年2月20日にすみだトリフォニー大ホールで行われた、標記の演奏会(長田雅人指揮)の感想である。ダスビの演奏会は毎年定例的に聴かせていただいており、感想も2006年の第13回以降、当ブログで毎年書いていたのだが、一昨年のものは…

 ナデージダ公式動画YouTube掲載!

◇2年半ぶりくらいでまた忙しくなり、お約束のダスビ感想も書けないまま(今しばらくお待ちください)。はてなダイアリーの書き方を忘れていて愕然とした今日この頃。 ◇プロアマ混成によるオーケストラ・ナデージダの、私も聴いていた演奏会から、忘じがたい…

 丹千尋ほかの「室内楽の夕べvol.4」の感想

(当日に20行くらいで書こうと思ったのだが、また長大に。今年のダスビ感想はしばらくお待ちください。って、待っている人いるのか? 「一年遅れ」が多少検索に引っかかってますが。) ◇東京では珍しい一日雪の休日(2月11日のことです…)。私は出勤でした…

 第17回オーケストラ・ダスビダーニャ定期演奏会の1年遅れの感想、または、ショスタコーヴィチ「チェロ協奏曲第2番」の本義について

◇昨年2月11日に標記の演奏会に行ったのだった(指揮は言うまでもなく長田雅人氏、すみだトリフォニーホール、以下楽団名はダスビと略す)。2月17日に感想を団長様宛FAX送信しているのだが、ブログ上では結局書き損ねたままだった。理由としては、自分が…

 杵屋正邦の「風」「第5風動」

◇2005年の記事で紹介した「現代邦楽のバルトーク」こと作曲家・杵屋正邦(1914-96)を再び紹介。邦楽演奏会では杵屋正邦の作品は定番の1つだが、一般に聴かれる機会は少ない。特にクラシック・ファンにはお勧めしたい。 ◇まずは聴かないと話にならないとい…

 毎日ボートマッチ(えらぼーと)結果

◇私の各党との一致度(%)は例えば下記のとおり。 政党 全体 憲法 外交 財政・経済 くらし 政治の仕組み 国のかたち 民主党 45 28 32 28 44 60 71 自民党 34 41 23 29 21 30 61 みんなの党 33 37 28 7 24 39 63 結果詳細 政治 - 毎日新聞 ◇以前と同様、憲法…

 「消費税増税論」について

◇先日、菅総理大臣の実現前に、私は反小沢の文脈で「消費増税なしの10年後の日本をもはや私は想像することができない」と書いた(「今こそ民主党政権を徹底的に支持する。 - ピョートル4世の<孫の手>雑評」)。 ◇ニュースの画面には、ワールドカップに便乗…

 今こそ民主党政権を徹底的に支持する。

◇昨年、選挙前夜に一文(「「変革」の前夜に寄せて - ピョートル4世の<孫の手>雑評」)をものしてから、また例のごとくのドタバタで言論を放置、そして本日の鳩山首相辞意表明に至った。 ◇確かに鳩山政権の普天間移設問題への取り組みは、その初発から極め…

 「没後400年特別展 長谷川等伯」での体験

◇会期も短いので取り急ぎ書いておくが、先日「没後400年特別展 長谷川等伯」に行ってきた(東京国立博物館・平成館にて、3/22まで)。この10年ほど、雪舟、琳派、円山応挙、横山大観、川端龍子*1、加山又造など、日本画系の大型展には、割合マメに出かけて…

【3】 「政権選択」後に向けて(混乱か成熟か、二大政党制か一党長期政権制か)

◇仮に、情勢報道のような結果が出るとして、絶対安定多数269議席を超えた場合、もはやそれ以上の議席数は(3分の2の320議席ラインを除けば)あまり大きな意味を持たない。むしろ、新人議員の多さや秘書不足などの不安定要素が増すと言えるかもしれない。そ…

【2】 民主党は本当に300議席に達するか?

静かな「変革の夏」? ◇今回選挙が果たして2005年郵政選挙と同レベルないしそれを上回る劇的な結果をもたらすのかどうか。肌で感じる熱気や報道の加熱ぶりといった表面の現象では、前回に全く及ばないといっていいだろう。 ◇しかし、その一方で繰り返し引き…

【1】 報道のエスカレーション?

◇前回8/19のエントリを上げた翌日から、選挙情勢報道が凄いことになった。木走氏のページを参考にまとめると、以下のとおり。 8/20朝日新聞「民主300議席うかがう勢い」 「「何だって!? 320!?」〜民主単独政権も可能な地滑り的勝利を目指す民主党…

 「変革」の前夜に寄せて

「【1】 報道のエスカレーション? - ピョートル4世の<孫の手>雑評」 「【2】 民主党は本当に300議席に達するか? - ピョートル4世の<孫の手>雑評」 「【3】 「政権選択」後に向けて(混乱か成熟か、二大政党制か一党長期政権制か) - ピョートル4世の…

 未刊だった谷川俊太郎「98のソネット」がついに!

◇「谷川俊太郎「詩を書く楽しさ」 - ピョートル4世の<孫の手>雑評」で書いていた、幻の98のソネットがついに刊行された! 1953年に刊行された谷川俊太郎の第2詩集『62のソネット』は98のソネットを記したノートから父谷川徹三の助言を参考に取捨選択された…

 「たまきはるいのち」を奪うものへの抵抗(その4 自由と魂の幸福について+「政権選択」選挙に際して)

◇前回の「身辺雑記より」に続けて、魂の主題をめぐる原理論を記す。ようやく「たまきはるいのち」という表題の意図を明かせると思う。 ◇そもそもこのエントリは、5/9頃にはいったん書き終えていたのだが、さらにこれに続く最終部分を書き続けていたところ…

 「たまきはるいのち」を奪うものへの抵抗(その3 身辺雑記より)

同僚の四十九日に ◇今日が四十九日となる。私より4歳下の同僚が心筋梗塞で突然亡くなったとき、私たちは皆、泣いた。当初は悼むにしてもあまりにも辛かった。 ◇今でも思い出せばじわじわと思いがつのるが、ようやく書くつもりになった。世間の慣習に最大限…

 第16回オーケストラ・ダスビダーニャ定期演奏会の感想

◇2/15(日)に、恒例のダスビ定期演奏会に参加(池袋・東京芸術劇場)。もちろん私はもっぱら聴く方ながら、本当に年に1度のお祭りに「参加する」という気分になっている。そんな立場からできることといえば、客席で「音楽」を満喫し、それとともに何だか…

 「通り魔」ないし「復讐」について

◇ちょっと言っておきたいのだが、何か自分が抱えている不満や孤立感のようなものを起因として人の命を奪うに至るというのは、利己主義の最たるものであり、自ら「人の道」を外れ、「畜生」以下に成り下がる最低の行為である。こんな当たり前のことを書くのは…

方法10「アルカイックな均整美に耽溺する」

◇さて、実に長かったこの記事もようやく終わりにたどり着いた。ここまで来てもミャスコフスキーが嫌いだという人は、おそらく存在しないだろう(ここまで読まないだろうから)。が、それでもやはりミャスコフスキーは分かりにくい…と思うなら、いっそのこと…