時事評論

 「消費税増税論」について

◇先日、菅総理大臣の実現前に、私は反小沢の文脈で「消費増税なしの10年後の日本をもはや私は想像することができない」と書いた(「今こそ民主党政権を徹底的に支持する。 - ピョートル4世の<孫の手>雑評」)。 ◇ニュースの画面には、ワールドカップに便乗…

 今こそ民主党政権を徹底的に支持する。

◇昨年、選挙前夜に一文(「「変革」の前夜に寄せて - ピョートル4世の<孫の手>雑評」)をものしてから、また例のごとくのドタバタで言論を放置、そして本日の鳩山首相辞意表明に至った。 ◇確かに鳩山政権の普天間移設問題への取り組みは、その初発から極め…

 「変革」の前夜に寄せて

「【1】 報道のエスカレーション? - ピョートル4世の<孫の手>雑評」 「【2】 民主党は本当に300議席に達するか? - ピョートル4世の<孫の手>雑評」 「【3】 「政権選択」後に向けて(混乱か成熟か、二大政党制か一党長期政権制か) - ピョートル4世の…

 「たまきはるいのち」を奪うものへの抵抗(その4 自由と魂の幸福について+「政権選択」選挙に際して)

◇前回の「身辺雑記より」に続けて、魂の主題をめぐる原理論を記す。ようやく「たまきはるいのち」という表題の意図を明かせると思う。 ◇そもそもこのエントリは、5/9頃にはいったん書き終えていたのだが、さらにこれに続く最終部分を書き続けていたところ…

 「たまきはるいのち」を奪うものへの抵抗(その3 身辺雑記より)

同僚の四十九日に ◇今日が四十九日となる。私より4歳下の同僚が心筋梗塞で突然亡くなったとき、私たちは皆、泣いた。当初は悼むにしてもあまりにも辛かった。 ◇今でも思い出せばじわじわと思いがつのるが、ようやく書くつもりになった。世間の慣習に最大限…

 「通り魔」ないし「復讐」について

◇ちょっと言っておきたいのだが、何か自分が抱えている不満や孤立感のようなものを起因として人の命を奪うに至るというのは、利己主義の最たるものであり、自ら「人の道」を外れ、「畜生」以下に成り下がる最低の行為である。こんな当たり前のことを書くのは…

 「政治改革の15年」から見た安倍首相続投状況

目次 「【1:「大敗でも続投」こそ「2001年型首相」の取るべき道―「中間選挙」としての参院選】 - ピョートル4世の<孫の手>雑評」 「【2:国際情勢から見た「大敗」―「安倍不要」の時代背景】 - ピョートル4世の<孫の手>雑評」 「【3:私たちの時代の「…

 7.29参議院選挙に想うこと

目次 【1:ポスト小泉時代の小康の中で―隠れた「大状況」】 - ピョートル4世の<孫の手>雑評 【2:「安倍・小沢状況」の曖昧さ】 - ピョートル4世の<孫の手>雑評 【3:安倍政権の混迷―その心理と論理】 - ピョートル4世の<孫の手>雑評 【4:参議院の位…

 「たまきはるいのち」を奪うものへの抵抗(その2 子育ての論)

1.佐藤俊樹「世間にうずまく『子育てデフレスパイラル』」(『中央公論』4月号*1「時評2007」)より ◇社会学者として、多面的に活躍する佐藤氏。この『中央公論』の2ページの時評でも、毎月なかなかの存在感を見せている。 ◇標題の「スパイラル」の含意…

 「たまきはるいのち」を奪うものへの抵抗(その1 はじめに)

1.自分の文章への反省 ◇私の書く文章は、よく言えば「総合的」、実際はいくつかの主題がごちゃまぜになっていて、たぶん他人からは恐ろしく読みにくいだろう。今まで[時事評論]として書いてきたものは、なべてそうした傾向がある。(ブログとしては異例に…

 教育についての「やらせ」問題たち

◇来客が多かった割りに特に反応のなかった「「紋切り型ニュース」の馬鹿馬鹿しさ(「履修不足」と「参院1票の格差」を事例として) - ピョートル4世の<孫の手>雑評」 の続報のつもりで少し書く。といっても、今更タウンミーティングのやらせ発言を取り上げ…

 「紋切り型ニュース」の馬鹿馬鹿しさ(「履修不足」と「参院1票の格差」を事例として)

◇連日報道され(消費され)ている、高校の「履修不足」問題、少しでも高校運営の内情に通じた人なら、こんなこと(科目の「読み替え」など)は、ずっと以前から常態化していたことを誰でも知っているはずだ(ある新聞投書では、確か30年以上前からあったと指…

 「世間」と「社中」(日本に「個人」がいるかどうか、「思想」はあるかどうかについての初歩的考察)

◇小泉政権についてのまとめやら日本思想史への発言やらをメモしてあるが、果たして書く機会はあるだろうか。 ◇ところで、ここ数日、何か借金苦の心中・身売り、いじめ自殺の報道が続いているような気がする。佐藤直樹氏の評判高い『世間の現象学』*1を今頃読…

 いまや懐かしいキャラたち−小泉、細木、ホリエモン−と「倫理道徳」の話

私は、昨年来の記事で、小泉純一郎や細木数子の行動や発言をやや偽悪的に高く評価してきた。今でもその基本線は変わっていない。進歩が無いのか、ぶれないのかどっちだろうか? 一方で、彼らが一時評価したホリエモンについては、私は積極的な評価を留保して…

 お粗末な事どもと大切なこと(形式と実質について)

PSE問題と原発運転差し止め判決 ◇経済産業省は江戸時代のお殿様か。実に恣意的な振る舞いではないか。保守派の私としては、法律の形式的適用よりも、世間の常識が勝利するのは悪いことではない。それにしても、立法・行政の手続きとしてあまりにお粗末。中古…

 北田氏・仲正氏トークセッション打ち切りへの余計な感想 (「東浩紀・北田暁大は『学問オタク』か?」特別篇)

「予想された結末」 ◇「やはりこうなったか」。id:leleleさんのブログでの「仲正×北田トークセッション中止」の告知*1を見ての、私の感想である。11/13に行われた両氏の第2回トークセッション(特にその後半)は、9/11の充実した第1回とは打って変わって…

 内田樹氏・仲正昌樹氏の「正義」批判に寄せて (「言論の無自覚」の問題について)

「戦後責任論」のねじれ ◇当ブログでも「歴史教科書問題」「靖国問題」について多く触れてきた。また、やはりWeb上を見ていると、やはり若い人々を中心に この「ニセ社会問題」に直面し混乱して、人生の貴重な時間を無駄にしている人もいるようである。そこ…

 「自民圧勝、民主惨敗」からその次へ

◇すでに多くの方が書いているように、今回の「自民党圧勝、民主党惨敗」という選挙結果は、小選挙区制度の特性から言って当然と言えば当然のもの。昨日のTV番組での街角コメントで「これじゃ2大政党じゃないよ」というのがあったが、いえいえこれこそ正に2…

 日本民衆の武装と自律と誇りの歴史

藤木久志『刀狩り−武器を封印した民衆−』(岩波新書)*1紹介と蛇足 豊臣秀吉の政権は、…その力を背景に、武装解除を目指して、農村からあらゆる武器を徹底的に没収し、民衆を完全に無抵抗にしてしまった…この見方は、いま、ほとんど国民の通念といえるほど根…

9.11総選挙と「その後」に向けて

目次 【1:前口上】 - ピョートル4世の<孫の手>雑評 【2:小泉「劇場」政治と「政治の2001年体制」】 - ピョートル4世の<孫の手>雑評 【3:私たちの時代の「文化戦争」】 - ピョートル4世の<孫の手>雑評 (全文を表示するには、09-05の日付をクリック…

 私たちの時代の「信心」問答 (含む「子育て論」)

◇このブログで問題にした*1「宗教性」についての記事を一つ(また、予告と違うものから書く、移り気な私。困るね)。最近、飲み会で(知人Xさん)「哲学や心理学も知っておいた方がいいと思ったんですけどね〜」(私P)「あれは下手にやると絶対落とし穴には…

 私たちの時代の「無宗教」と「無思想」(「日本リベラリズムの本義」序説)

石田衣良「空は、今日も、青いか?(12)世界に100人の神様がいるなら」 ◇またまた『R25』隔週連載エセーをネタにしつつ、表題の件を考える。今回の一文は、7・7ロンドン同時爆破テロと、その前後にもやむことのないイラクでの自爆テロについて。『世界が…

 三浦雅士・江藤淳・小林秀雄・吉田満、そして「心学」「歴史」という問題へ

三浦雅士から(強引に)「東アジア思想史」「三教一致」「心学」へ ◇三浦雅士の小林秀雄批判は、氏の「青春」論の文脈からする、思想史的で相当に射程の長いものであるようだ*1。前回、三浦氏の書評欄コラムを簡単に紹介(三浦雅士「小林秀雄は批評家ではな…

 「アジア思想史」という大々問題 (基本文献紹介つき)

◇当ブログ上でしばしば「三教一致」という用語を用いてきているが、なかなかその意義を直接的に説明するのは難しい。日本あるいは東アジア、さらに広げてアジアの思想史の分野というのは、ヨーロッパの思想史研究の密度とは比較にならないぐらい薄い。という…

 東浩紀・北田暁大は「学問オタク」か? (その2)

批評家・東浩紀氏の思想を儒教=仏教=神道的に「かみくだく」 1.「ポストモダン」の状況認識篇 目次 【1:問題と方法の確認】 - ピョートル4世の<孫の手>雑評 【2:『動ポモ』を初歩からもう一度?】 - ピョートル4世の<孫の手>雑評 【3:「ポストモ…

 東浩紀・北田暁大は「学問オタク」か? (その1)

前口上 ◇さて、先に「私たちの時代の「学芸」 - ピョートル4世の<孫の手>雑評」で、東・北田の両氏には「そこはかとなく『よくできすぎ』のいかがわしさを感じる」と書いておきながら、昨日の「「日本版ポリティカルコンパス」結果=保守左派 - ピョートル…

 「靖国問題」補足から、「小泉首相」観・国際情勢観の問題へ

◇さて、いいかげん論点も出尽くして(?)、皆が飽きてきそうな「靖国神社参拝問題」について、少ししつこく補足しておこう*1。もっとも、これを、「小泉純一郎首相の靖国神社参拝問題」と捉えるか、「日本の首相の靖国神社参拝問題」と捉えるのか、「靖国神…

 「古き良き時代」の葬送

◇昨日、(9日に書いた)先生のご葬儀に行ってきた。通夜はともかく告別式に参列したのは久し振りだった。人の葬式のことなど決して「評」すべきでも、表に出すことでもないが、感じたことをいくつか備忘としてあえて書いておきたい(細かい事実にも触れるが…

 靖国、天皇、「死者を祀る」ということ、「女系」容認問題

◇今日も色々な媒体で情報を得たのだが、一番印象に残ったのは(また)毎日新聞の論説委員・金子秀敏氏のコラム「早い話が」(9日夕刊4面)。まず、神職の資格を持つという綿貫民輔・前衆院議長の言葉を引き「天皇は大神官」とする*1。さらに、昨年石原慎太…

 「日本思想史」という大問題 (靖国論議の混迷に寄せて)

◇珍しくTVの(ニュース以外の)報道番組を観て、興味が湧いた。今朝のフジ「報道2001」(http://www.fujitv.co.jp/b_hp/2001/)とりあえず、TV欄見出しは「今こそ靖国参拝を徹底検証…前宮司と東条英機の孫語るA級戦犯?」。多彩な顔ぶれで、いろいろな論点が…