『毎日新聞』朝刊「終戦60年」特別紙面 (「8.15」の問い直し)

◇反日デモの一時的盛り上がりを経て、国内ではついに本当に解散総選挙。ついでに、8/15靖国参拝もうやむやになった今日この頃。至極静かな「終戦記念日」を迎えたわけだが、『毎日新聞』の特異な紙面(下に紹介)に触発され、産経・読売・朝日の朝刊を買っ…

 東浩紀先生、「電車男」は「美少女ゲーム」的世界

本日『毎日新聞』朝刊6面「論点…『電車男』ヒットの背景」 ◇ネット系の話題ははっきり言って少ない『毎日新聞』が、遅ればせながら「電車男」現象を1面分の「論点」欄(論者3人)で扱う。東浩紀先生のほかに、精神科医(トラウマ系で有名)・小西聖子氏と…

 地元ネタ:国際交流フェスティヴァルの光景と感想(+80年代前半論?)

◇夕方、子連れで散歩に出かけたら、川口駅西口リリアパークでやっていた、「国際交流フェスティヴァル」に遭遇。どういう催しなのかもよく知らないが、とりあえず目に付いた光景と感想だけ。 ◇まず聞こえてきたのが、ステージ上からの津軽三味線合奏。そうい…

 私たちの時代の「無宗教」と「無思想」(「日本リベラリズムの本義」序説)

石田衣良「空は、今日も、青いか?(12)世界に100人の神様がいるなら」 ◇またまた『R25』隔週連載エセーをネタにしつつ、表題の件を考える。今回の一文は、7・7ロンドン同時爆破テロと、その前後にもやむことのないイラクでの自爆テロについて。『世界が…

 文芸評論家・安藤礼二氏の近現代日本思想史での大活躍(&「日本思想史」「アカデミズム」への心からの毒づき)

◇どちらもすでに先月出ていたようだが、安藤礼二氏に焦点を絞って本と雑誌の2冊を紹介。ついでに、またまた人文系アカデミズムについて。 KAWADE道の手帳『西田幾多郎 没後60年・永遠に読み返される哲学』 ◇立体的な雑誌型編集で、哲学者・西田幾多郎のテキ…

 台湾国民党新主席(党首)馬英九氏についてのメモ

◇2008年、台湾総統選挙の国民党候補者。 櫻井よしこ「日本ルネッサンス」(『週刊新潮』) 国民党の「黒金(裏金)」にメスを入れ、小泉的に「国民党をぶっ壊す」位置づけの人物と見る(背景に外省人の内部対立があるという)。 金子秀敏(毎日新聞論説委員…

 「なぜテロは起こるのか」(若いイスラム教徒の現状認識の問題として)

◇ロンドン同時爆破テロを受けての日本の印刷媒体などの論調を見るに、初発から冷静な受け止め方が目立った(対岸の火事?)が、ここに来て「なぜテロは起こるのか」という根本問題への言及をいくつか見かける。 昨日の『R25』フロント・ページ 「テロの背景…

 三浦雅士・江藤淳・小林秀雄・吉田満、そして「心学」「歴史」という問題へ

三浦雅士から(強引に)「東アジア思想史」「三教一致」「心学」へ ◇三浦雅士の小林秀雄批判は、氏の「青春」論の文脈からする、思想史的で相当に射程の長いものであるようだ*1。前回、三浦氏の書評欄コラムを簡単に紹介(三浦雅士「小林秀雄は批評家ではな…

 当ブログの性格について

◇先日のコメント暴発事件以来、当ブログの書き方についても反省してみた。「勝手に」「あえて」と断って書いていたとはいえ、やはり「無責任」な言葉や、皮肉を効かせたつもりが嫌味だったり攻撃的だったりした場合があったのではないか(あるある←っつうか…

 三浦雅士「小林秀雄は批評家ではない。編集者である」

「この人・この3冊:編集者としての小林秀雄」 from『毎日新聞』本日9面 ◇刺激的な冒頭の一文に続けて言う、「批評の方法については怪しいものだが、編集については、方法といい業績といい第一級である」と。高校時代、教科書に載っていた小林秀雄の悪文に…

 福田和也「司馬史観」と闘う

「福田和也の闘う時評159:論文が作品になる学者」 from『週刊新潮』(13日水曜日発売) ◇福田和也が右翼的言説を展開しつつも「司馬史観」に否定的なのは自明かもしれないが、その立場を示すコンパクトで新しい事例として、上記記事の要点を紹介。 ◇記事は…

 leleleさんのコメント欄で私が犯した暴発への謝罪・反省文

◇当ブログに関することなので分類上「雑談」としておきますが、今回は謝罪と反省の意味でこの記事を書いています。今朝ほど、はてな界隈では説明は不要でしょうが、id:leleleさんのページで私は以下のようなコメントを書き込みました。 失礼至極ですのですぐ…

 「アジア思想史」という大々問題 (基本文献紹介つき)

◇当ブログ上でしばしば「三教一致」という用語を用いてきているが、なかなかその意義を直接的に説明するのは難しい。日本あるいは東アジア、さらに広げてアジアの思想史の分野というのは、ヨーロッパの思想史研究の密度とは比較にならないぐらい薄い。という…

 オタク・齋藤孝(教育)・オウム(差別)論など(『創』を手がかりに)

◇前回に続いて、『創』8月号の記事紹介と、それに関連する私の勝手な見解を少々。 唐沢俊一氏・岡田斗司夫氏の連載「オタク清談」 ◇お題は「"萌え"の経済効果」。「昨年8月の野村総研資料でのオタク市場規模2900億円」「今年4月の横浜銀行発表の『萌え』…

 警察裏金問題とジャーナリズムの構造

◇先日、あまり勉強してもいないのに、ジャーナリズムまで問題として取り上げてしまった(「政治・宗教・メディアに関する2、3の事柄 - ピョートル4世の<孫の手>雑評」)。案の定、私の記事の中でもかなりいいかげんなものになった(特に後半)。このまま…

 海外文学で(「反日」からテロまでの)現代を読む

◇私は、哲学畑出身で、しかもあまりに本を読むのが遅いくせに、読めない分まで沢山本を買ってしまうので、一時期文学作品は買わないように自分で自分に制限を課していた(思えばそれも大きな失敗だった)。そんな人なので、例えば『毎日新聞』金曜夕刊連載の…

 政治・宗教・メディアに関する2、3の事柄

◇今、日本でのリベラリズム、つまり政治的、宗教的な「自由」と「寛容」、そして「言論」についてという割合古典的な問題を考えている。その意味で、id:amgunさんの高橋哲哉『靖国問題』論と、id:nonamethinkerさんの東浩紀・北田暁大・鈴木謙介論の文脈を間…

 「靖国問題」「歴史問題」と国連改革問題 (情報のミスマッチあるいは大衆の操作について)

◇ちょうどコメントをいただいたid:amgunさんの力作とかぶってしまうのだが、本屋で再び高橋哲哉氏の『靖国問題』を手にとって、2ページほど読んだ。はっきり言って、読者というには足らないのはもちろんなのだが、その部分に見えた国際関係の記述だけ見ても…

 東浩紀先生、飯田橋駅転落事故

◇ひいいやああ(冷)、ゾッとしました。昨日はid:samsa01さん経由で知りましたが、本当にびっくりした。さんざん失礼なことを書いてる最中だっただけに、私は特に驚いた次第で。お怪我は痛々しいですが(hirokiazuma.com)、お命ご無事で本当によかった。今…

 なぜか気になる石田衣良 (&1980年代の日本について)

◇R25の隔週連載エセーが面白いという以外、特に作品を読んだわけでもないのに、石田衣良がやたらよく目に付き、つい読まされてしまう。先週の『週刊アスキー』では、進藤晶子のインタヴューに答えていた(本名の姓が「石平」で、電話に出るとき便利だとか…。…

 今日は東京都議選投開票日

◇最近、東京にも行ってないな(用事がない)。さて、対岸から見るに全く盛り上がっていないようだが、都民の方々は選挙に行くのだろうか。各政党は国政選挙並みの態勢で臨んでいるそうだが、新聞見ても、暑いけど演説の際はネクタイをするかしないかとか、最…

【1:問題と方法の確認】

◇東氏が90年代から一貫してこだわり続けているのは、現在の私たちが置かれている時代についての状況認識である。この一点への認識の一致がないために、東氏は、前回少し触れたように笠井潔氏*1と決裂し、さらに、大塚英志氏と多くの理解を共有しながらも袂を…

【7:次回以降の予告】

◇なお、一応今後の予定としては、 東氏を「かみくだく」:「動物化」論、権力/自由論、子育て論、哲学論 「嗤う北田の『リベラリズム』」 日本リベラリズムの本義 といった内容を予定していますが、全部書ききれるかどうかは分かりません。

【6:東浩紀の日本社会論の射程】

◇さて、そこで「日本社会」論を名のっている『動ポモ』に立ち戻って、「日本社会」についてどのような状況認識がされているかだけ確認しておこう。ただ、結局この本は以上のような哲学的背景を持ちつつ、オタク系文化だけを素材に論じた本なので、「日本社会…

【5:東浩紀の日本社会論の背景】

◇ということで、ようやく東氏の『動ポモ』とリベラリズムの関係が少し分かってきた(まだ、『動ポモ』の本題には入っていない)。ここで、もう一度1998/99年の講演/論考「郵便的不安たち」(以下、引用は『郵便的不安たち#』)*1に戻って、東氏が『動ポモ…

【4:「大きな物語」の機能不全とシミュラークルの全面化】

◇こういう認識を背景にすれば、1970年前後に「大きな物語」が終わった(機能不全)というのは、理解しやすい。「大きな物語」とは、具体的に言えば、「近代国家」のイデオロギー(「国民国家」の一体感=国家目標にすがる、日本なら文明開化や天皇制や高度成…

【3:「ポストモダン」という時代認識】

◇ポストモダンとはどのような時代を指すのか。「モダン」は、近代/現代の意味で使われるわけで、「ポストモダン」とは近代以後(特に1970年代以降の文化的世界)をとりあえず意味する(以下、「ポモ」と略記する)。「近代以後」では分かりにくいが、一時(…

【2:『動ポモ』を初歩からもう一度?】

◇東氏の2001年の著作『動物化するポストモダン オタクから見た日本社会』*1は、東氏が現代思想の領域で高い評価を得た後、より一般向けに発表した著作である。新書版で、一見誰でも読みやすそうな体裁の本である。しかし、この本は、それに先立つ講演/論考…

 東浩紀・北田暁大は「学問オタク」か? (その2)

批評家・東浩紀氏の思想を儒教=仏教=神道的に「かみくだく」 1.「ポストモダン」の状況認識篇 目次 【1:問題と方法の確認】 - ピョートル4世の<孫の手>雑評 【2:『動ポモ』を初歩からもう一度?】 - ピョートル4世の<孫の手>雑評 【3:「ポストモ…

 Musical Batonが回ってきたものの…

◇一日中、持ったまま走ってました(遅くて申し訳ない)。同年輩のid:sanhao_82さんよりいただきました(いつぞやは変なTBで失礼)。(あまり書いていない)[音楽短信]記事を見ていただければ分かるように、私の趣味は超偏っていて一般性がないぞ。 ◇では、…